好きなもの⑥
湊かなえの小説。
初めて読んだ作品は「告白」。
当時、大学生になったばかりの私は本を読むことはあまりなく映画化されるようなミーハーな作品しか興味がありませんでした。
大学では教授から本をたくさん読んだ方がいいと力説されていたので、手あたり次第読み始めた時に「後味がかなり悪いよ」と友人から借りて読みました。
読了後は気持ちがずーんと引きずられました・・・衝撃的でしたね。
ミステリーやサスペンスが気になり始めたキッカケの本です。
おそらく湊かなえの作品は一通り読んでいるかと思うのですが、その中で印象に残っている作品がいくつかあります。
- 「母性」
- 「ポイズンドーター・ホーリーマザー」
- 「花の鎖」
改めてピックアップすると、母親と娘の関係性を書いている作品が多いですね。
「母性」はその象徴の作品だと思います。
自分の母親は一人だけ、だけど母親も誰かの娘である。
マザコンの娘が子供を産み母親になっても、心は母親にはなれず娘のまま。
子供を産んだからといって皆が皆、母性を授かるわけではないのだと。
女性であればいつかは自分も母親になるかもしれないと一度は考えるのではないでしょうか。
母親という存在が私の中でも相当強いからこそ、重なる部分も多かったです。
切なさと寂しさと、愛されない娘が不憫でたまらなく号泣したのを覚えています。
一方、「ポイズンドーター・ホーリーマザー」では「毒親」がテーマ。
初めての子供には厳しく躾けるのに、年が離れた二人目の子供には甘くなる。
子供のためを思って躾けているつもりでも、いつしかトラウマになっていることを母親は知らない。
実際に子供を産んで母親にならないと理解不能な気持ちがたくさんあるのでしょう。
一番怖いのは「これが正しい」と決めつけてしまうこと。愛ゆえに。
「花の鎖」は三世代の親子の物語。
伏線があちらこちらに散りばめられていて、何度も前のページを読み返しては作品に没頭していました。
最後に全てがつながった時の衝撃は忘れません。
同じ商店街での出来事を時代を超えて書かれているミステリー!
そして現在、「物語のおわり」を読んでいます。
未完結の小説に自分を重ね合わせた結末を考える主人公たち。
私だったら・・・と考える結末にはその人の人生が含まれているんですね。
想像力というよりは願いが込められている。
まだまだ途中なので、伏線を楽しみながら読み進めます♪